株式会社 ＨＣ研究所 ～内視鏡・医療用洗浄剤 Ｈクリーン　

近年、内視鏡診療は大学病院のみならずクリニックにおいて非常に高い精度で観察・診断また治療も行われている。大学病院のように特殊なスコープを使用することは非常に少ないが、少ないスコープの本数で多くの件数をこなさなければならない。大学病院の洗浄環境のみならず、クリニックにおける洗浄環境について俯瞰的に観察し、ともに求められる状況・環境を理解し、保守管理を含めた感染管理を行わなくてはならない。

内視鏡洗浄消毒において、ガイドラインで推奨されている洗浄剤は、いずれも酵素を含有しているため洗浄溶液の温度管理が必須となっている。
当院では非酵素の弱アルカリ洗浄剤Ｈクリーンを使用しているため、厳しく温度管理をするのではなく、人感による温度管理を行っていた。
今回、内視鏡洗浄における溶媒である水に着目し、温度によって洗浄能力に変化が現れるか検討を行った。

十二指腸鏡やコンベックス型超音波内視鏡を用いた胆膵内視鏡検査・処置を行うにあたり、これら内視鏡は非常に内径が細くさらに複雑な構造となっており、洗浄はさらに難易度が高くなっている。米国では不十分な洗浄・消毒により多剤耐性菌が伝播した可能性も報告され、我が国においても注意喚起がなされている。
これら内視鏡において一次洗浄後にATP測定を行い当院規定値（100RLU）以下とならず再洗浄となるケースがあるため、CO2ガスを使用した洗浄補助装置を作成し洗浄工程の改善を検討し、さらなる改良をほどこしたので報告する。

十二指腸鏡やコンベックス型超音波内視鏡を用いた胆膵内視鏡検査・処置を行うにあたり、これら内視鏡は非常に内径が細くさらに複雑な構造となっており、洗浄はさらに難易度が高くなっている。
そのため、一次洗浄後にATP測定を行い当院規定値（100RLU）以下とならず再洗浄となるケースがあるため、CO2ガスを使用した洗浄補助装置を作成し洗浄工程の改善を検討したので報告する。

センターでは、血液や汚物などの付着が著しい内視鏡をハイリスク群として、予備洗浄後にATP測定を行っている。今回、ハイリスク時におけるATP測定の有用性について検討した。

内視鏡検査で使用した器材の回収から清浄化は始まっている。当診療部での清浄化レベルを清浄度で客観的に示す清浄化管理は、生物学的発酵法と蛍光染色法を駆使した現場で迅速に測定と評価を行う管理方法である。しかし、併せて細菌培養を行う必要があり、結果が出るまでの数日間にスコープを使用すると結果が想定外の場合は対応が遅延してしまうことに懸念を抱いてきた。当診療部では独自の方法により内視鏡洗浄を実施し、過酢酸製剤による高水準消毒を施す。Regulationの基準値を超えた場合には追跡調査も実施し、基準値を実現するまでは臨床使用を禁止している。品質のTraceabilityにも拘っており、約2週間のサイクルで清浄度による評価を受けたスコープの品質は確かな再現性を持って維持されている。

近年、OPAによる蛋白変性物の残存によるバイオフィルム形成が問題視されてきている。今回、バイオフィルムの核となりうるOPA蛋白変性物の除去を目的とした洗浄剤をＨＣ研究所と共同開発し、その効果について検証を行った。

消化器内視鏡の洗浄消毒マルチソサエティーガイドラインが出され、日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会作成であるガイドライン第2版等において、洗浄剤は酵素洗浄剤と表記されていたものが洗浄液と変わり、洗浄剤の選択の幅が広がった。WGO-OMGE/OMEDガイドラインにおいても酵素洗浄剤は少なくとも15分の接触を要すると表記され、順守できない場合は非酵素（例：アルカリ洗浄剤）が代替品として推奨されている。
今回、当院の洗浄方法に適した洗浄剤を検討する為に酵素洗浄剤と弱アルカリ洗浄剤の洗浄効果を比較した。

消毒薬の移り変わりの背景にはGAからOPA、OPAから電解酸性水または過酢酸など施設によって異なる。有機物もろとも固定させるGAやOPAから細菌を酸化破壊する電解酸性水、過酢酸に移行してきた場合、薬剤性複合バイオフィルムが強酸性消毒剤によって破壊される過程で、従来検出されなかった培養試験で陽性反応を示す結果を経験している。
今回、非酵素系中性洗浄剤に薬剤性複合バイオフィルムに対するクレンジング剤として着目した。

内視鏡洗浄消毒においては、ガイドラインにて、スコープ管路のブラッシングを行うことが推奨されており、各施設で行われてきているが、その検証データが少ないのが現状である。今回、パイオラックス社と共同でスポンジタイプのブラシを開発し、市販洗浄ブラシと比較検討した。

洗浄消毒ガイドラインおよびマルチソサエティーガイドラインにおいて、電解酸性水の位置づけは高水準消毒とは明言されていない。双方のガイドラインに明記されている電解酸性水の留意点を理解の上で、あくまで施設管理者による使用とされている。
一次洗浄剤に弱アルカリ洗浄剤Ｈクリーンを使用し、ATP値を低く安定させる手法を追求、確立してきたため、電解酸性水による時間の短縮に期待した。

ATP検出の基礎検討とし洗浄シンクの水道水ATP値（平均5RUL）に対し、使用済みスコープチャンネル内の吸引側（平均21712RUL）、挿入側 （平均38428RUL）とかなり高値であった。
　水道水レベルにまで清浄化するため効果的な一次洗浄方法の追求を行い、
食品衛生基準の100RULをもとに任意にA、B、C、Dと設定し、自動洗浄消毒装置の工程終了後にBクラス（20RUL）以下を清浄許容範囲とした。
一次洗浄に使用する洗浄剤を温度低下による影響が少なく効果の即効性が高い弱アルカリ洗浄剤Ｈクリーンを導入し、管路内に高圧注入し続けるためバスポンプを使用。
実施後は吸引側（平均17.6RUL）、挿入側（平均11.4RUL）と非常に安定した成績である。
これをオリンパス社のOER2、OER3の新旧2種類の装置で清浄度がいかに補正され、安定しているかを比較検討した。

ガイドラインで推奨されている高度作用消毒剤、OPAを使用するエンドクレンズD、過酢酸を使用するOER-2の２種類の洗浄消毒装置を稼働させた場合、一次洗浄後のスコープチャンネル内における有機物の除去能力をATP測定による清浄度評価で比較検証。

内視鏡に付着した各種精密検査用の色素について、蒸留水、中性洗剤、酵素洗剤、７０％消毒用エタノール、ハイポエタノール、Ｈクリーンを用いて洗浄方法を検討。

保管・使用時に温度管理の必要がない弱アルカリ洗浄剤（Ｈクリーン）と、温度管理が必要な蛋白分解酵素洗浄剤の洗浄効果をATP測定で比較。

内視鏡洗浄において、手洗いによる一次洗浄が最も重要であり、有機物を完全に除去することが要求される。
一次洗浄時に使用する非蛋白分解酵素系洗浄剤を用いてビデオスコープを従来通りに洗浄し、工程経過をATP測定を行った。